「官僚って、実はそんなに給料もらってないの?」
「国を動かす人たちの待遇って、どうなってるの?」
そんな素朴な疑問に答える大きな動きが発表されました。
2025年度から、中央省庁で働くキャリア官僚の給与が、大企業の水準に引き上げられることになったのです。
発表したのは、国家公務員の給与制度を所管する人事院。
この決定の背景には、深刻な「公務員離れ」と、長時間労働に見合わない待遇への問題意識があります。
給与比較の基準が「500人以上」から「1000人以上」企業に
これまで、国家公務員の給与を民間企業と比較するときの基準となっていたのは、従業員500人以上の企業でした。
しかし今回、人事院はこの基準を従業員1000人以上に引き上げると発表しました。
対象となるのは東京23区に本社がある大企業。いわゆる「大手中の大手」との比較です。
これにより、特に中央省庁で政策立案や国会対応を担うキャリア官僚(総合職)の給与水準が、大きく見直されることになります。
なぜ今? 背景にある「人材離れ」と待遇への不満
現在、全国で働く国家公務員は約60万人。
そのうち、霞が関の中央省庁で働く人は約28万人、キャリア官僚はわずか1万5000人ほどです。
しかし今、そのキャリア官僚の世界では深刻な人材離れが起きています。
2025年春に行われた「国家公務員総合職試験」では、倍率が6.7倍と過去最低水準に。
前年の7.0倍を下回り、若者たちが公務員という職業を敬遠している実態が浮き彫りとなっています。
理由のひとつは、給与水準と労働時間のバランスの悪さ。
「深夜まで働いても報われない」「責任ばかり大きい」
そんな声が若手の間で広がっており、優秀な人材が民間企業に流れているのが現状です。
今回の改定で何が変わるのか?
人事院は毎年、民間企業と比較して国家公務員の給与改定を勧告しています。
役職や勤務地、年齢、学歴などを考慮してバランスをとる仕組みです。
今回の変更点は、大きく分けて2つあります:
- キャリア官僚(総合職)の比較対象を「従業員1000人以上」の企業に引き上げる
- 一般職も含めた全体の比較対象企業も「従業員100人以上」に引き上げる
これらの改定により、給与水準が実質的に底上げされる見通しです。
人事院は、8月に正式な「人事院勧告」として、引き上げ幅を発表する予定です。
待遇改善のねらいとは?
実はこの流れ、今年3月に開かれた人事行政諮問会議での提言がもとになっています。
有識者たちは「これ以上人材が流出すれば、国の政策そのものが弱くなる」と警鐘を鳴らしていました。
待遇を改善し、「働きがい」と「見合った報酬」を両立させることで、
優秀な人材が再び霞が関に集まるように——。
それが今回の改定の大きなねらいです。
私たちに関係あるの?と思ったあなたへ
「官僚の給与が上がっても、自分には関係ない」と思うかもしれません。
でも実は、その政策をつくっているのが彼らです。
子育て支援、物価対策、防災、環境、教育、AI戦略——
あらゆる政策は、彼らの知恵と働きによって形づくられています。
その根幹を支える人材が、報われずに疲弊し、離職していく。
それでは、政策の質が落ちてしまう可能性も否定できません。
だからこそ、国の根幹を支える職業に、ふさわしい待遇を。
それが今回の決定に込められたメッセージなのです。
まとめ:官僚の給与アップは、国の未来への投資
2025年度から始まる国家公務員の給与改定。
それは単なる賃上げではなく、「国の根幹を担う人材を守る」ための改革です。
私たち国民一人ひとりの生活や未来にも関係のあるこのニュース。
この機会に、「誰が、どんな思いで国を動かしているのか」
少しだけ、関心を向けてみてもいいかもしれません。
※本記事は一般向け情報提供を目的としたものであり、政策判断や就職選択のアドバイスを目的とするものではありません。