こんにちは！
「なぜ暑い国は貧しいのか」と考えたことはありますか？この問題は非常に複雑ですが、多くの人がまず「暑さ」を理由に挙げるのではないでしょうか。
アフリカと聞くと、赤道、サバンナ、砂漠、水不足など、暑さと密接に結びついたイメージを連想しがちです。
今回は、この経済格差の背景にある秘密を探ります。以下の動画の内容を基に、ブログ記事形式で分かりやすくまとめました。
第1章 暑さと貧困のイメージ：古くからの仮説
私たちは、暑い日にやる気をなくした経験があるため、暑さと貧困を結びつけやすい傾向があります。
- 歴史的視点: 18世紀の思想家モンテスキューは、著書『法の精神』の中で、「暑さは体から活力を奪い、やがて精神にも影響を与える」と述べました。ルソーも同様に「暑い国では人が平穏になりがちだ」と記しています。
- 物理的現象との関連: 物が冷えると引き締まり、熱すると緩むという性質を、人間の性格や文化に重ね合わせる考え方もあります。温かい地域の人はおおらかで、寒い地域の人は勤勉と見なされがちです。
- 現実のデータ: 実際、世界のGDP分布を見ると、豊かな国は高緯度に集中し、貧しい国は赤道付近に多い傾向が見られます。気温とGDPのグラフでも、暑いほど貧しいという相関が明確に現れています。
第2章 「待つ能力」の重要性：マシュマロ実験が示すもの
本当に暑さが人々を無気力にさせ、国が貧しくなるのでしょうか？ここで鍵となるのが**「待つ能力」**です。
- マシュマロ実験: 1970年代に心理学者ウォルター・ミシェルが行った「マシュマロ実験」は、子供が目の前のマシュマロをすぐに食べるか、我慢して2つ手に入れるかを選ぶものです。
- 実験結果の示唆: この「待つ能力」は、その後の学業成績や社会的な成功と一定の相関があることが分かりました。つまり、未来のために今を我慢できるかが、人生を左右する可能性があるのです。
第3章 気候が「待つ能力」に与える影響
この「待つ能力」は、気候によって育まれ方が異なります。
- 寒冷地域: 厳しい冬を乗り切るため、夏のうちに食料を蓄え、計画的に行動する必要があります。数ヶ月先の生産を見据える環境では、未来を信じて待つ力が自然と鍛えられます。
- 熱帯地域: 1年を通じて作物が実りやすいため、長期的な備えが必ずしも必要ありません。結果として、未来のために我慢する必要性が小さくなり、「待つ能力」が育ちにくい環境だと言えるかもしれません。
この違いが社会全体の価値観や行動様式に影響を与え、寒い地域では努力が報われる感覚が根付きやすく、暑い地域では未来よりも今を大切にする姿勢が強調されやすい傾向があるのです。
第4章 気候だけが原因ではない：歴史と制度の複雑な絡み合い
しかし、気候だけが経済格差の全てを説明できるわけではありません。
- 複合的要因: 実際には、歴史、政治、制度、文化、技術革新といった多様な要因が複雑に絡み合っています。
- 植民地支配の影響: かつて植民地支配を受けた国々は、その影響から抜け出すのに長い時間を要しました。搾取された資源や労働力、不安定な制度は、独立後も経済的・政治的な基盤を弱くしました。
- 制度の重要性: 法制度が整い、所有権や契約が守られる国では、人々は安心して経済活動ができます。しかし、権利が保証されず、汚職が横行する国では、努力が報われず経済活動が停滞しがちです。
- 教育と政治体制: 教育への投資や民主的な制度を持つ国の方が、長期的に経済的に安定しやすい傾向があります。
同じ気候条件にある国々でも経済格差が生じるのは、こうした歴史的背景や制度設計の違いが大きく作用しているためです。
第5章 複合要因としての経済格差と現代への示唆
国の豊かさを決定づける要因は一つではありません。気候が「待つ能力」に影響を与え、それが経済行動の基盤となることは重要ですが、それだけでは説明しきれない現実があります。
- 多角的視点の必要性: 経済格差の本質を理解するためには、単一の要因ではなく、気候、歴史、制度、資源、グローバル化といった複合的な視点が不可欠です。
- 未来への応用: 一見単純に見える現象も、多角的に考えなければ真実に近づけません。暑さや気候の影響を否定するのではなく、それを起点として歴史や制度の役割を理解する。そうした広い視野を持つことで、現代社会の問題をより正しく捉え、未来に活かすことができるのです。
まとめ
「暑い国はなぜ貧しいのか」という問いに対し、動画では気候が育む**「待つ能力」の差、そして植民地支配の歴史や制度の違い**といった複合的な要因が深く関わっていることを解説しています。単なる気温の問題ではなく、社会的な背景が重なり合って経済格差が形成されていると理解することが重要です。
