はじめに
最近のニュースを見ていると、私たちの日常生活に直結するさまざまな法律や政策が議論されていることに気づかされます。
例えば、103万円の壁という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
これは、年収103万円以下の人が税金を支払わずに済む制度を指し、特に主婦やパート従業員にとって大きな関心事となっています。
また、ガソリン暫定税率の廃止についても、最近のニュースで盛んに取り上げられていました。
これにより、ガソリン価格が一時的に安くなるというニュースもありましたが、これらの法律や政策がどのように決まっているのか。
国会は私たちの生活に深く根差した重要な決定を行う場であり、そこではさまざまな意見が交わされ、法律が形作られていきます。
今年の夏には参議院選挙が予定されており、国会の役割や仕組みを理解する良い機会です。この機会に、日本の国会のしくみについて詳しく学んでみませんか?
三権分立と国会
日本の政治制度を理解する上で「三権分立」は避けて通れません。
三権分立とは、国家権力を立法、行政、司法の三つに分け、それぞれが独立し、かつ相互にチェックし合う制度です。
国会は立法権を担い、法律を制定、改正、または廃止する役割を果たしています。
議院内閣制により、国会と内閣の結びつきが非常に強いのが日本の特徴です。
国会の地位
国会は、「国民の代表機関」であり、「国権の最高機関」として唯一の立法機関です。
この地位により、国会は国家の重要な政策決定の場となっています。
二院制
日本の国会は衆議院と参議院の二院制を採用しています。
二院制の主な利点は、多様な意見の反映と慎重な審議、相互チェック機能です。
衆議院は465人の議員数を持ち、任期は4年ですが、解散があります。
一方、参議院は248人で、任期6年、3年ごとに半数が改選されます。
下記記事も併せてごらんください。
項目 | 衆議院 | 参議院 |
---|---|---|
議員定数 | 465人(小選挙区289人、比例代表176人) | 248人(選挙区148人、比例代表100人) |
任期 | 4年(解散あり) | 6年(3年ごとに半数改選) |
選挙権 | 満18歳以上 | 満18歳以上 |
被選挙権 | 満25歳以上 | 満30歳以上 |
選挙区 | 小選挙区:全国289区 比例代表:全国11区 | 選挙区:原則都道府県単位45区 比例代表:全国1区 |
解散 | あり | なし |
二院制のメリット
- 多様な意見の反映:衆議院と参議院はそれぞれ異なる選出方法や任期を持つため、異なる層の意見を反映することができます。
- 慎重な審議:二つの議院で審議されるため、より慎重に議論が深められます。
- チェックアンドバランス:衆議院と参議院は互いにチェックし合うことで、一方の議院の行き過ぎを抑制できます。
- 不十分な点の補完:衆議院と参議院で足りない部分を互いに補い合えることで、より質の高い政策決定に繋がります
衆議院と参議院が完全に対等な力を持っている場合、両者が対立すると何も決められなくなってしまいます。
そこで、衆議院のほうが強い権利をもつ「衆議院の優越」という決まりがあります。
参議院よりも衆議院が強い(尊重される)パターンは下記2つがあります。
衆議院だけがきめられること | 内閣不信任決議予算を先に審議する権利 |
衆議院の決定が優先されること | 予算の議決条約の承認内閣総理大臣の指名法律の再可決 |
国会の会期と種類
国会には「会期」と呼ばれる活動期間があります。
毎年1月に召集される「常会」では150日間、様々な重要議案が審議されます。
他にも、必要に応じて以下のような会期が開かれます。
国会の会期と種類
種類 | 召集・時期 | 会期 |
---|---|---|
常会 | 毎年1月中に召集 | 150日間(延長は1回まで) |
臨時会 | – 内閣が必要と認めたとき – 議院の要求があったとき – 選挙後30日以内 | 国会の議決で決定(延長は2回まで) |
特別会 | 衆議院解散後の総選挙から30日以内 | 国会の議決で決定 |
参議院の緊急集会 | 衆議院解散中の緊急時 | 緊急案件の議決まで |
国会の柔軟な運営を支え、民主主義の更なる推進に寄与しています。
国会の仕組みを理解することで、法律や政策がどのように形成されるのかを知り、より良い社会づくりに参加する基礎となります。
国会の主な仕事
国会の重要な仕事には、以下のようなものがあります。
主な仕事 | 内容 |
---|---|
法律の制定 | 議員や内閣から提出された法案を審議し、可決されると法律となる。 |
予算の審議と議決 | 国の年間予算を審議・議決し、税金の使い道を決定。 |
条約の承認 | 外国との約束である条約を結ぶ際には国会の承認が必要。 |
内閣総理大臣の指名 | 国会議員の中から投票で内閣総理大臣を選ぶ。 |
国会での議決の方法
国会での議決には以下の方法があります。
議決の方法 | 内容 |
---|---|
多数決の原則 | 原則として出席議員の過半数の賛成で決定。 |
特別多数決 | 憲法改正の発議など特に重要な事項については、総議員の3分の2以上の賛成が必要。 |
国会と国民のつながり
国会は国民と密接に結びついています。
以下のような権利を通じて、国民は国会に影響を与えることができます。
国民の権利 | 内容 |
---|---|
請願権 | 国民は国会に対して要望を文書で提出し、政策に影響を与えることができる。 |
国会の公開 | 本会議は原則公開され、傍聴や中継を通じて国民が審議を見ることができる。 |
国政調査権 | 国会は国の事務に関して調査する権限を持ち、証人喚問等を行うことができる。 |
国会と内閣の関係
日本は議院内閣制を採用しており、国会と内閣は密接な関係を持っています。
内閣との関係の要素 | 内容 |
---|---|
内閣総理大臣の選出 | 国会議員の中から内閣総理大臣が選ばれる。 |
内閣不信任決議と解散 | 衆議院は内閣を不信任とする決議ができ、一方で内閣は衆議院を解散する権限を持つ。 |
国会の運営
国会の運営には、以下のような仕組みがあります。
運営の仕組み | 内容 |
---|---|
委員会制度 | 法案はまず専門の委員会で審議され、その後本会議で討論・採決される。 |
会期制 | 国会の活動期間は会期として定められ、会期中に結論が出なかった案件は原則として廃案となる。 |
まとめ
日本の国会は、国民の代表機関として重要な役割を果たしています。
法律の制定や予算の決定など、私たちの生活に直結する重要な決定を行う場所です。
二院制や議院内閣制など、さまざまな仕組みを通じて、民主的で効率的な政治の実現を目指しています。
国会のしくみを理解することは、私たち国民が政治に参加し、よりよい社会を作っていくための基礎となります。
選挙や請願など、私たちにも国会とつながる機会があります。
国会についての理解を深めることは、私たちが社会の一員としての役割を果たし、より良い未来を築くための第一歩です。
自分たちの生活に影響を与える法律や政策がどのように決まるのかを知ることで、より具体的な意見や要望を持ち、建設的な議論を行うことができます。
私たち一人ひとりが政治に参加し、民主主義を実践することこそ、より良い社会を作り上げていくのです。
今後も国会の活動に注目し、自分の意見や考えをしっかり持つことで、未来の日本を共に考えていきましょう。
政治や法律についての知識を深めることが、私たちの生活をより豊かにする手助けとなるでしょう。国会のしくみを学ぶことは、私たちの未来に繋がる重要な一歩です。
皆さんも、自分自身の考えや意見を大切にし、国会や政治に積極的に関わってみてください。あなたの声が未来を変える力となります。

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